2025年05月01日
埼玉県における産業動向と見通し 埼玉県内産業の先行きはほぼ横ばいで推移する見通し。 米国新政権の関税政策による影響には留意が必要
経済調査太田 富雄
趣旨
わが国の景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。昨年10~12月期の四半期別実質GDP成長率は、設備投資や輸出に支えられ、前期比年率換算+2.2%と、3四半期連続のプラス成長となった。埼玉県の景気は持ち直している。当財団が県内企業を対象に四半期ごとに実施している、企業経営に関する直近1月のアンケート調査では、自社業況のBSI(「良い」-「悪い」の企業回答割合)は+24と、2019年以来の高い水準となり、企業の業況の好調さが窺える結果となっている。先行きについては、今年の賃上げが高い数値が発表されていること、埼玉県においては物価上昇を加味した実質賃金の前年比の伸びが、全国がプラス・マイナスを挟んで推移するなか、昨年1月から12月までプラスで推移し、消費の下支えが期待される。聞き取り調査の結果、埼玉県の1~3月期の産業天気図は、化学、輸送機械、建設、小売が「薄日」となる一方、食料品、一般機械が「曇り」、電気機械、鉄鋼が「小雨」となり、業種によるバラツキがみられた。4~6月期も、ほぼ横ばいで推移する見通し。 ただし、4月2日に米国新政権の関税政策が発表され、想定を上回る関税率であったことから、世界経済産業天気図の先行きに対する不透明感が高まっており、今後の状況推移には留意したい。
目次
- 概況
- 食料品
- 化学
- 輸送機械
- 一般機械
- 電気
- 建設
- 鉄鋼
- 小売