2023年12月01日
埼玉県の災害に対する取り組みの変遷
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地域コンサルティング宇田 昭広
趣旨
2019年の令和元年東日本台風や2020年に始 まった新型コロナウイルス感染症の感染拡大など、大 規模な災害や危機に見舞われ、危機管理への対応 の重要性は増している。特に新型コロナウイルス感 染症の感染拡大においては、感染拡大防止対策やワ クチン接種、ポストコロナに向けた経済対策など、 様々な施策が都道府県単位で実施され、危機的な状 況下で都道府県の役割がいかに重要であるかを再 認識させられた。そのコロナ禍の2022年3月に埼玉 県が策定した新たな総合計画が、「埼玉県5か年計 画 日本一暮らしやすい埼玉へ」であり、同計画で最 初に記載されているのが、災害や危機に対する施策 である。県民の命や財産を守ることに直結する災害 や危機への対応に万全を期することは、「日本一暮ら しやすい埼玉」を実現するために必要不可欠である。 ちょうど60年前の1963年に「埼玉県地域防災計 ●埼玉県における主な大規模災害の歴史 時 期 大規模災害 埼玉県における被害 1910年 明治43年 明治43年の大水害 県内浸水地域は全面積の24%に及び、 1923年 大正12年 関東大震災 1931年 昭和6年 西埼玉地震 死者249人、約61千戸の住宅が被害 マグニチュード7.9、死者316人、約17 千戸の住宅が被害 1938年 昭和13年 昭和13年の台風 死者74人、約6千戸の住宅が被害 1947年 昭和22年 カスリーン台風 1966年 昭和41年 台風26号 2011年 平成23年 東日本大震災 マグニチュード6.9、死者11人、約2百 戸の住宅が被害 約42万人がり災し、死者86人、約82千 戸の住宅が被害 約44万人がり災し、死者28人、約99千 戸の住宅が被害 マグニチュード9.0、最大震度6弱(宮代 町)、約16千戸の住宅が被害 2015年 平成27年 関東・東北豪雨 約5千戸の住宅が被害 2019年 令和元年 令和元年東日本台風 約13千人がり災し、死者4人、約7千戸 の住宅が被害 資料:埼玉県「埼玉県地域防災計画」などを基に作成 画」や「埼玉県総合振興計画」が初めて策定されて おり、本稿では災害に対するこの60年間の県の取り 組みを、地域防災計画や総合計画を紐解きながら、 その変遷を見ていきたい。
目次
- はじめに
- 治山・治水対策が中心の時期 (1960年代~1970年代)
- 地震対策が進められた時期 (1980年代~1990年代)
- 激甚化・頻発化する災害や感染症への対策 (2000年代~)
- コロナ禍・激甚化する災害を踏まえた現行の計画
- 高まる県政への期待
- おわりに