2024年11月01日
埼玉県における産業動向と見通し 産業天気図は、業種によりバラツキがみられるものの、3業種で改善の見通し
経済調査太田 富雄
趣旨
わが国の景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している。埼玉県の景気も緩やかに持ち直している。
全国では実質賃金がようやく本年6月にプラスに転じるなか、南海トラフ地震臨時情報や台風による集中豪雨などにより個人消費の腰折れが懸念されたが、防災関連商品や猛暑対策商品の販売などが下支えし、個人消費は一部に足踏みが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられる。
先行きについては、輸入物価の上昇ペース鈍化が予想されるもと、今年度の強い賃上げ効果で個人消費は持ち直しの動きが続くことが期待される。
一方、10月に公表された日銀短観においては、企業の業況判断DI(「良い」―「悪い」の回答割合)が+14(全規模・全産業)と、業況が「良い」とするところの方が多くなっている。企業の業況が良いことや、人手不足感も強いことから、合理化投資など設備投資は底堅く推移することが見込まれる。
個人消費や設備投資に支えられ、埼玉県の景気は持ち直しの動きが続くことが予想されるが、海外景気の動向や国際情勢および政治情勢については不透明感が強く、状況の推移には留意が必要である。
聞き取り調査の結果、埼玉県の7~9月期の産業天気図は、輸送機械、建設、小売が「薄日」となる一方、化学が「曇り」、食料品、一般機械、電気機械、鉄産業天気図鋼が「小雨」となり、業種によるバラツキがみられた。
10~12月期も、7~9月期と同様、業種によりバラツキがみられるものの、3業種で改善する見通しとなった。
目次
- 概況
- 食料品
- 化学
- 輸送機械
- 一般機械
- 電気
- 建設
- 鉄鋼
- 小売