2025年08月01日
埼玉県における森林の現状と持続可能なあり方
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経済調査事業太田 富雄
趣旨
本年5月25日(日)、第75回全国植樹祭が秩父市・小鹿野町にまたがる「秩父ミューズパーク」において、天皇陛下御臨席のもと開催された。埼玉県では1959年の第10回以来、66年ぶりの開催である。大会テーマを「人・森・川 つなげ未来へ 彩の国」とし、「伐って・使って、植えて、育てる」という森林資源の循環利用を進めるとともに、積極的に木材を活用していくという「活樹」についての考え方が打ち出された。
埼玉県は、森林との結びつきが強い。江戸時代から昭和の時代にかけては、現在の飯能市を中心とした地域から切り出された木材が「西川材」として品質的に高い評価を受け、家づくりなどに多く利用された。また、現在の川越市・所沢市・狭山市・ふじみ野市・三芳町にまたがる三富地域と言われる地域では、江戸時代から多くの木を植えて平地林として育て、木々の落ち葉を使った循環型農業が営まれ、「大都市近郊に今も息づく武蔵野の落ち葉堆肥農法」として、2023年に世界農業遺産に認定された。さらに、明治神宮の、太古から存在するかのような広大な森は、埼玉県出身の林学者、本多静六博士が大正時代に設計したものだ。
本稿では全国植樹祭を契機に、埼玉県の森林の現状について全国と対比しながら概観するとともに、持続可能な森林のあり方について展望したい。
目次
- はじめに
- 全国植樹祭とは
- 全国植樹祭とは
- 林業関係者の推移
- 林業産出額の推移
- 埼玉県の林業の課題と持続可能なあり方