2024年09月01日
自治体の終活支援
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地域コンサルティング青木 淳子
趣旨
2023年5月、第211回国会の予算委員会におい て、高齢者の身元保証の問題に関する質問がなさ れたことをきっかけに、身寄りのない高齢者の身元 保証や死後の様々な事務処理等に関する問題につ いての社会的な関心が高まった。質問の中では、介 護や医療の現場の職員等が高齢者の身元保証に 関する業務を担わざるをえない実態や、身元保証を 提供する民間業者もあるが担当省庁もなく、サービ スの質の確保ができていない現状について言及さ れていた。 国においても従前から問題意識を持っており、総 務省では、「遺品整理のサービスをめぐる現状に関す る調査」(2020年3月)、「遺留金等に関する実態調 査」(2023年3月)、「身元保証等高齢者サポート事 業における消費者保護の推進に関する調査」(2023 年8月)等を実施、調査結果を踏まえて2024年6月に 「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を公表 している。 厚生労働省と法務省は2020年3月に「身寄りがな い方が亡くなられた場合の遺留金等の取扱いの手引 き」(2023年7月に改訂)を策定し、都道府県及び市 区町村に周知した。 身寄りがいない高齢者の場合、身元を保証する家 族がいないことから適切な医療・介護サービスが提 供されない可能性がある。また、亡くなった後に家族・ 親族がすぐに見つからない場合、自治体職員が戸籍 をたどって親族等を探し、連絡をとるという事務負担 も生じる。 近年では、自治体や社会福祉協議会が身寄りのな い高齢者の身元保証や終活支援のためのサービス を立ち上げるケースが増えつつある。本稿では、市民 に近い立場にある市町村等が個人の終活にどのよう な形で関わっているかを述べていきたい。
目次
- はじめに
- 高齢者単独世帯の増加
- 葬祭扶助の増加
- 埼玉県内自治体の終活支援状況
- エンディングノート及び民間身元保証 サービス企業の有用性と課題
- エンディングプランサポート事業
- 自治体の終活支援事業の先行事例
- おわりに