2024年08月01日
埼玉県の労働生産性の動向 ~第3次産業に立ち塞がる人口減少社会の波~
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経済調査齋藤 康生
趣旨
人口減少社会の到来は地域経済に様々な悪影響をもたらす。すでに埼玉県内の総人口は減少に転じており、働き手の不足や県民による消費活動の縮小が懸念されている。今後、産業では就業者一人当たりの付加価値額(労働生産性)を高めていかなければ、県内経済の規模(産業による総付加価値額、あるいは県内総生産)は縮小を余儀なくされるだろう。
県内でも労働生産性の向上に資する設備投資や業務のデジタル化など、個々の企業の省力化、効率化に向けた好事例が大変注目を集めている。一方で、労働生産性は企業がおかれた産業の特性や立地などの外的な要因からも制約を受けるようだ。本稿では、県民経済計算(埼玉県)と経済センサス活動調査(総務省・経済産業省)のデータを中心に、マクロの視点で県内の労働生産性の動向について考察を行う。特に県内で付加価値額、就業者数の割合が高い第3次産業の動向に注目をしていきたい。
目次
- はじめに
- 県内産業の労働生産性の推移
- 産業ごとの設備投資による生産性の変動
- 県内の業種別の労働生産性の推移
- 人口集中地区の割合で分かれる県内商業の労働生産性の二極化